日本に甚大な被害をもたらした台風としてよく知られているのは1959年の伊勢湾台風で,死者・行方不明者5098人を記録している。台風被害は,強風被害,高潮被害,大雨による洪水・浸水および土砂災害,台風通過に伴う竜巻被害,塩風害,うねりや風浪による船舶被害などが特徴的である。先進国においては人的被害こそ減っているが,都市域での大規模水害による交通・通信等インフラの広域被害がしばしば起こっている。台風は将来にわたって社会的に影響の大きな気象現象であるため,世界中で活発に研究が行われている。本稿では,台風の発生から消滅までを概説したのち,進展著しい観測技術と研究の動向(特に,「表面」に関わる部分)についてその一端を紹介する。