表面科学
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Cu-ZnO系触媒の表面状態とメタノール合成活性
岡本 康昭
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1990 年 11 巻 2 号 p. 76-82

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抄録

Cu-ZnO系触媒は, メタノール合成反応に対しCuとZnO間に強い協働効果を示す。その原因に関してはいまだ不明な点が多い。本解説ではCu-ZnO系触媒表面に関する研究を中心に紹介し, CuとZnOの組合せにより生成する銅種とその化学的, 物理的性質について述べ, 協働効果との関連について触れた。CuO-ZnO系ではZnO に固溶したCu2+, アモルファス銅酸化物, CuOが存在することがXPSにより示された。活性化後, Cu+の触媒表面での安定化の他, 二次元金属銅種, 銅金属微粒子の生成, およびCu+/ZnOからの電子移動による金属銅種の電子密度の上昇がXPS, AESに基づいて示唆された。二次元金属銅種は酸素との反応性が高い。また, 水素気流中150℃以上では金属微粒子へと相転移する。Cu-ZnO間の相互作用は触媒調製法に強く依存する。メタノール合成活性サイトを構成する銅種がCu+かCU0かに関してはいまだ明確になっていない。CO2の添加効果を含め最近の説を簡単に紹介した。

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