ペロブスカイト型酸化物の触媒特性と表面特性との関連について解説する。ペロブスカイト型酸化物上で起こる触媒反応の機構は, 吸着種間の反応が重要な “Suprafacial” 機構と, バルク酸素が反応に関与する “Intrafacial”機構に分類される。炭化水素の水素化, 水素化分解反応や比較的低温で起こるCO酸化反応が前者の機構で進行し, 反応基質の吸着に対する表面, 特にBサイト遷移金属の電子状態が重要である。一方, 完全酸化 (燃焼) 反応, NO還元反応, NO分解反応などは後者の機構で進行する。この場合, 格子酸素の反応性や酸素欠陥の存在などのバルクの性質が重要ではあるが, ペロブスカイト型酸化物の表面状態や組成は変化しやすいために, バルク特性を十分に引き出し得るような構造や組成を持つ表面をつくり出すことが必要である。