表面科学
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超微粒子の化学的製造法
尾崎 義治
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1990 年 11 巻 3 号 p. 160-166

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抄録

超微粒子は, 今科学と工学の両分野から注目されている。物質がどこまで分割できるかというのは, ギリシャ以来, 人類の好奇の対象である。物質の大きさが格子振動の長波長限や, 電子やフォノンの平均自由行程の大きさと同程度になると, 物質の基本的物性である融点, 電子や熱の伝導性, 磁性や誘電性などの諸性質が通常のマクロ系と大変異なることが予想される。また, 集積回路技術に代表される超微細素子製造技術は超微粒子原料の必要性を増大している。このため, 近年超微粒子合成が注目を集めている。ここでは, これらの中から酸化物, 窒化物, 金属超微粒子のとくに注目される合成法について紹介する。いずれも, 従来一般的に用いられている無機塩と水溶液の組み合わせではなく, 有機金属化合物や有機溶媒を使用する系となっている。このような有機化合物の使用は無機反応系に比べて反応を特異化することが容易であり, 諸要求にあった粒子単位で組成の制御された均一性の高い超微粒子の合成に適したものである。

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© 社団法人 日本表面科学会
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