表面科学
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めっき膜の断面構造
渡辺 徹
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1990 年 11 巻 7 号 p. 406-411

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抄録

めっき膜の結晶学的構造はめっきをするたびに変化し, 再現性に乏しく, 構造を制御することは極めて困難であると考えられてきた。しかし, 最近著者はめっき膜の断面構造を透過型電子顕微鏡によって観察しているが, それによるとめっき膜はめっき中に様々な理由で組成が変化し, それに伴なって構造が変化し, 厚さ方向に層構造を形成していることが明らかとなった。このような層構造をとっているにもかかわらず, めっき膜の構造解析のために表面に垂直方向にビームを入射させてX線回折し, 膜構造を同定しようとすれば, 情報は混乱するのは当然である。膜の構造を正確に知るには, 膜の断面構造を透過電子顕微鏡によって観察および分析することが不可欠であると考える。
本解説では種々のめっき膜の断面構造の実際の写真を紹介するとともに, その構造の形成原因について考察し, さらに断面構造の観察方法についても言及する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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