表面科学
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コロイド粒子の分散・凝集と界面電気現象
臼井 進之助
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1991 年 12 巻 1 号 p. 8-13

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抄録

金属酸化物コロイドの水相分散系は溶液のpHを変えると凝集したり分散したりする。安定なコロイド分散系へ電解質を加えていくとコロイド粒子は凝集するようになるが, 電解質の種類によって凝集の起る濃度が違う。このような性質はコロイド粒子表面の帯びている電荷と密接な関係がある。同じ電荷を持った粒子が接近すると反発するが, これはクーロン反発力ではない。粒子を凝集させる原動力は一体何であろうか。超微粒子になると分散がむずかしくなるのは何故か。異なる種類の粒子間の凝集は同種粒子間の凝集とどのような違いがあるのか。このような問題を本解説ではとりあげている。コロイド粒子の分散や凝集は, 自然現象, 生体現象をはじめいろいろな産業分野に深い関係を持っている。実際の現場ではここで述べる問題とは別の観点からいろいろの問題の解決をはかる場合も多い。しかしコロイド粒子の安定性と界面電気との関係は, 凝集現象の最も基本的な性質であり, 有機溶媒や高分子溶液中での分散, 凝集を取扱う場合でも頭に入れておく必要がある。また, コロイド粒子の凝集の問題は液体薄膜の安定性やぬれの問題とも深いかかわりがある。

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