表面科学
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生体における界面
膜タンパク質の分子間力による構造形成機構の解明
美宅 成樹
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1991 年 12 巻 10 号 p. 603-609

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抄録

生物内には細胞膜をはじめとした各種の界面が存在している。それらの界面はたいへん機能性が高く,輸送,エネルギー変換,情報の受容などの生物的に重要な機能がそこに局在している。この論文では生物の界面がどのような構造をもっているか? また,それらの構造がどのようにして形成されているか? について考察した。 基本的には,すべての生物現象は分子間力によって起こっているのであるが,生物現象は複雑でわれらの理解をまだ越えている。その大きな原因は,生体高分子とその複合体がきわめて大きな自由度をもっていることと,多様な分子間力が同時に関与していることによる。しかし,生体膜のなかでは疎水性相互作用と極性相互作用が対照的な性質を示すことから,生体膜およびその機能単位である膜タンパク質の構造形成の機構が明らかになりつつある。そのような研究の現状について紹介する。

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© 社団法人 日本表面科学会
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