スパッタによる薄膜化プロセスにおいて,原子層オーダーでの精密制御の限界についての最近の研究について述べる。本解説では,Bi層状ペロブスカイト構造の高温超電導体を多元マグネトロンスパッタでlayer-by-layer蒸着すると,1/2格子ユニット程度(10~20A)までは化学組成・結晶構造の制御が可能であり,また,このIayer-by-1ayerスパッタで,1/2格子ユニット単位で構成した人工超格子物質が創成されることを示した。この種のスパッタリング法は,人工歪超格子強誘電体や触媒・人工酵素などバイオミメテック材料のような新材料の創成にも有望なプロセスである。