表面科学
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界面和周波発生(SFG)を用いる振動分光学
堂免 一成廣瀬 千秋
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1992 年 13 巻 2 号 p. 64-70

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抄録

波長可変赤外光と可視レーザー光を界面に照射したときに生成する和周波(SFG)光の強度は,赤外光の振動数が界面吸着分子の分子内振動と一致したときに共鳴増大を示す。この現象は,振動遷移が赤外線吸収とラマン散乱の両方に活性である場合にのみ生起する。一般にSFG光は界面部分でのみ発生するので,SFG分光法は表面・界面にある分子の構造と配向,さらにはダイナミクスを分子レベルで追跡する有力な手段である。本稿では,この赤外-可視和周波発生法を用いた振動分光(SVSFG)について,原理と特徴を簡単に記してから,実際の測定法と代表的な測定結果を紹介する。われわれが使用している装置の概要と測定上の留意点について3章で述べる。4章では,(1)アラキジン酸カドミウムのL-B膜のSFGスペクトルについて,スペクトルの特徴の解析から末端メチル基の二次元配向の様子がわかること,(2)溶融石英上に形成したオクタデシルトリクロロシランの単分子膜を有機溶媒中に浸して行った測定では吸着分子の振動スペクトルだけが観測されること,(3)銀単結晶上のメチルチオレートのSFG分光では,振動励起による時間分解測定が可能であること,(4)シリコン単結晶上の吸着水素についても興味ある結果が得られていることなどを紹介する

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