表面科学
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中エネルギーイオン散乱法によるSiO2/Si,Ge/Si界面の構造解析
西岡 孝住友 弘二
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1993 年 14 巻 7 号 p. 397-403

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抄録

中エネルギーイオン散乱法(MEIS)では,結晶成長もしくは種々のプロセスにより形成された表面層,あるいは埋もれた界面の急峻性,原子の変位,組成に関する知見をほぼ非破壊で得ることができる。MEISによる測定とシミュレーションとの比較解析により,化学処理にて形成した自然酸化膜下のSi(111)結晶では2-bilayer程度の原子が酸化膜側に持ち上がった構造をもつことがわかった。熱酸化膜/Siでは自然酸化膜/Siに比べて結晶のSi原子の変位は小さい。自然酸化膜/Siに見られる結晶Siの変位は500℃のJ処理により解消する。MBE成長をしたGe/Si(111)における界面近傍のGe原子は膜厚方向に0.1~0.2Åの歪みをもつ。室温で形成したGe/Si(111)に熱処理を施すと,500℃以上の温度でGeとSi原子の相互拡散が生じ混合層が形成される。熱処理に伴って相互拡散開始前後の温度(~550℃)までは膜厚方向の歪みが存在しているのに対し,より高温では混合層の形成とともに歪みが緩和されることが示された。

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© 社団法人 日本表面科学会
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