表面科学
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吸着と毛管凝縮
表面の構造と液体物性
近沢 正敏武井 孝
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1993 年 14 巻 9 号 p. 526-532

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抄録

固体表面の特性評価値である表面積,細孔分布,表面の化学的親和性などを,吸着科学的手法で正確に評価するには,吸着層が気相,液相,固相のいずれの状態かを明確にする必要がある。比表面積の算出において,吸着層が液相,固相とその状態が異なると,単分子吸着量や分子断面積がそれぞれ大きく変動することを不活性ガス,水蒸気の各吸着について指摘した。また吸着層は,固体表面作用力の影響でその構造と物性はバルクの状態とは異なることを固―液の相変化温度の変動結果から明らかにした。 細孔分布は吸着質の細孔内への毛管凝縮現象を利用して求められる。その際用いられるKelvinの毛管凝縮式の適用限界は,窒素吸着の場合,細孔半径が20Aまでといわれている。適用困難な理由の一つとして凝縮液体に及ぼす固体表面作用力の影響が考えられる。この影響が顕著に現れると推定される水蒸気吸着系において,毛管凝縮のメカニズム,また凝縮液体の物性変化(密度)について,さらには表面の濡れ性と毛管凝縮との関係について解説した。

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© 社団法人 日本表面科学会
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