表面科学
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EELFS (電子エネルギー損失微細構造) -固体表面における新しい局所構造解析
宇佐美 誠二藤川 高志
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1994 年 15 巻 1 号 p. 2-8

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抄録

数keV以上の電子線を表面に照射して, 電子エネルギー損失スペクトルを測定すると, イオン化励起損失ピークに続いて振動構造 (EELFS) が現れる。この振動は, 励起された電子が内殻から離れた後, 周辺の隣接原子によって散乱されて生じる干渉効果である。したがって, 振動現象の観測を行うことによって, 局所的な原子間距離を知る手掛かりが得られる。この振動はX線吸収に見られるXAFS (X線吸収端微細構造) と類似であるが, XAFSの解析法がそのまま電子線励起の場合に適用できるとは限らない。まず, この点を明らかにするEELFSの理論を概説し, それから導かれるXAFSとの対応関係について述べる。続いて, この理論的背景の下に, 実際に行ったNiO (100), O/Ni (100) などの吸着系に対する測定とその解析結果を紹介する。

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