表面科学
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イオン伝導体と電極
松井 昇
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1994 年 15 巻 7 号 p. 463-466

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抄録

固体デバイスの電荷担体は,多くの場合,電子かホールである。固体の中には,支配的な電荷担体が電子やホールではなく,電子の数千倍の質量をもつイオンであるイオン伝導体と呼ばれる物質がある。電荷担体がイオンの場合に限らず,電子やホールの系でも電気的特性を調べるには電極が不可欠である。電極には,系を乱さないで計測をするために工夫されたものから,積極的に電極反応を起こして,生成物やエネルギーを効率的に取り出すものまでたくさんの種類がある。生体電極は前者,電池は後者の代表例である。イオン伝導を応用する系は,デバイス全体の構成が電子伝導体(電極)/イオン伝導体/電子伝導体(電極)となる。この系は,全体が電子伝導の系と比べ,電極部での電荷担体のやりとりが異なるなど複雑で,電極に求められる機能も多岐にわたる。ここでは,最初に電荷担体が電子(ホール)とイオンの場合での電極機能の違いを考える。つぎに,電荷担体がカチオン(陽イオン)のイオン伝導体(β-アルミナ)と,アニオン(陰イオン)のイオン伝導体(定安化ジルコニア)の場合の電極挙動を比較して考える。安定化ジルコニアの系については,さらに応用時の電極の問題について具体例で示す。

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