表面科学
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層状物質へのインターカレーションを利用した無機有機ナノ複合物質
小川 誠黒田 一幸
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1995 年 16 巻 11 号 p. 694-698

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抄録

無機層状物質への有機化合物のインターカレーションによって形成する無機有機ナノ複合物質,層間化合物について,特にミクロ構造の評価とそれを利用した機能/反応制御に関する最近の研究例を紹介した。X線回折分析,ESR,NMRにより層間ゲスト種の配向が検討された。このホストーゲスト相互作用に起因する層間ゲスト種の配向が,光二量化反応の選択性や第二高調波発生などの物性に反映された。またさらに精緻なミクロ構造の構築を目指して,界面活性剤による層間の疎水化,テトラメチルアンモニウムイオンをピラーとして用いた多孔体化などが試みられた。光化学ホールバーニング,フォトクロミズムなどゲストの光物性の変化から,このようなミクロ構造の修飾によりゲストの吸着状態,ホストーゲスト相互作用が制御できることがわかり,層状結晶へのインターカレーションを利用した物質設計の有効性が示された。

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© 社団法人 日本表面科学会
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