表面科学
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半導体超微粒子の物性と光電子移動
野坂 芳雄
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1995 年 16 巻 3 号 p. 166-172

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抄録

この解説では,後に光触媒に関する解説が続くことを念頭において,半導体超微粒子の基礎物性と表面電子移動の速度論的な解説が述べられている。1章の導入の後,2章では,今まで文献で見かける半導体超微粒子の種類と,最近報告された,粒径分布が非常にせまいCdS超微粒子の作製法について紹介した。3章では,半導体超微粒子の物性として,量子サイズ効果と呼ばれる電子状態のサイズ依存性の現れる理由について,CdSを例に吸収スペクトルの関連で詳しく説明した。X線回折では,積層欠陥のあるウルツ鉱型結晶は閃亜鉛鉱型類似のパターンを示すこと,また,超微粒子の表面構造の緩和によりピークにシフトが生じることを紹介した・4章では,光を吸収した半導体超微粒子に生じた電子や正孔の行方について,その反応速度など最近の報告を解説した。その中で,電子移動速度のエネルギー依存性について,および表面分子の吸着量依存性について特に解説した。

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