表面科学
Online ISSN : 1881-4743
Print ISSN : 0388-5321
ISSN-L : 0388-5321
電子ビーム励起表面反応を用いたナノメータエッチング
松井 真二馬場 雅和渡部 平司藤田 淳一
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 16 巻 6 号 p. 353-359

詳細
抄録

電子線照射によって誘起された基板表面原子と吸着分子との反応を利用した電子ビーム励起エッチングによるナノメータエッチングについて述べた。まず,集束電子ビームによるXeF2ソースガスを用いたSiの直接描画エッチングを行い,コンピューター制御による任意パターンのマスクレス直接描画エッチングが可能であることを示した。また,電子ビーム励起エッチングの特徴の一つである3次元加工をCIF3ソースガスを用いたPMMAレジストを用いて示した。さらに,電子ビーム励起エッチングはイオンエッチングに比べて低損傷であり,低損傷ドライエッチング技術として有用であることを示した。まず,大面積のブロード電子ビームを得る方法として,一般的にドライエッチングのプラズマソースとして用いられているECRソースから,ブロード電子ビームを引き出す方法を提案し,この方法を用いてGaAs/AlGa1-xAs量子井戸基板をエッチングし,フォトルミネッセンスによる光学的測定により,その低損傷性を示した。さらに,STMを用いてGaAs基板上に塩素吸着層を形成しSTM走査することによって原子層エッチングを行った。最近では,5nmビーム径の電子ビーム描画も可能になっており,今後,電子ビーム励起表面反応を用いた低損傷ナノメータエッチング技術が有望視されていくものと思われる。

著者関連情報
© 社団法人 日本表面科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top