表面科学
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単純2原子分子の解離吸着反応と吸着アルカリ金属の効果
並木 章
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1995 年 16 巻 9 号 p. 577-582

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抄録

H2,O2,Cl2分子の表面解離吸着反応は入射エネルギーにより活性化される。H2は軽いので入射エネルギーは表面フォノンに散逸されず,そのため解離吸着反応は常に直接的に進行する。しかし,O2やCl2では,物理吸着過程を経る間接解離吸着過程が関与し,それは0.1eV以下の入射エネルギーで顕著となる。解離吸着反応はすべての分子で入射エネルギーにより活性化される。H2ではパウリ反発が活性化障壁の形成に重要な寄与をなす。 吸着アルカリ原子はこれらの分子の活性化障壁に大きな影響を与える。電子親和力の極端に小さいH2と逆に大きなCl2に対しては,吸着アルカリ原子は障壁を高める方向に働く。O2に対しては逆に障壁を下げる。障壁を高める原因は仕事関数の低下に伴うパウリ反発の増加にある。他方,O2に対する障壁低下は表面電子移動の増加による。

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