表面科学
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結晶系Si太陽電池の表面・バルクパッシベーション
白沢 勝彦福井 健次
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1996 年 17 巻 9 号 p. 510-515

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抄録

太陽電池の本格的な実用化に向けての動きが非常に活発になってきている。今後更に低コスト化が図られ太陽光発電が地球環境問題を打開する新エネルギーとして一役を担う時代が到来するであろう。まずは結晶系シリコン太陽電池が先導役を担っていくであろうが,それには更に高効率化と低コスト化を達成しなければならない。高効率化には多くの手法があり多種にわたる研究が行われている。特にパッシベーション技術は今後の薄膜化に向けても非常に重要な技術として位置づけられている。本稿では,結晶系シリコン太陽電池のパッシベーションの種々の技術について述べてある。パッシベーション技術には表面パッシベーション技術とバルクパッシベーション技術がある。表面パッシベーション技術は大きく分けて熱酸化による方法と薄膜を表面に形成する方法があり,表面再結合速度としてエミッタでは102 cm/s以下,裏面では10cm/s以下を目指した研究が進められている。また,バルクパッシベーション技術は色々な手法が検討されているが本質的にはどれも水素によるパッシベーションである。表面パッシベーションにより表面でのキャリア再結合を減らし,バルクパッシベーションによりシリコン基板のライフタイムを向上させることができる。

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