試料の温度測定(測温)においては,温度を読み取るだけの場合と,読み取った温度を設定温度と比較して温度制御を自動的に行う場合があるのは,ご存知の通りである。また,測温の方法としては,センサを試料に接触させるか試料近傍に置いて測定する方法,および温度を遠方で測定する非接触の方法がある。前者の例が熱電対などのセンサによる測温であり,後者の例が放射高温計や光高温計による測温である。非接触の方法が安全に温度制御に利用できれば,試料へのセンサの取り付けや配線などの煩わしさがなく,実験上のメリットが多い。その反面,実際に使ってみると,不安なところもある。ここでは,それらについて著者が経験した問題点とその対策などを,温度領域ごとに分けて紹介したい。