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Print ISSN : 0289-6540
広域ネットワークにおけるマルチキャスト通信アーキテクチャ
楠本 博之寺岡 文男村井 純
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1993 年 10 巻 4 号 p. 4_327-4_339

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抄録

本論文では,インターネットプロトコル体系に基づくマルチキャスト通信の広域ネットワークでの利用について論じ,新たな経路制御プロトコルを提案する.この経路制御プロトコルは,マルチキャスト通信を基盤とした通信アーキテクチャ,WMA (WIDE Multicast communication Architecture)の核をなすものである.現在Internetで実験的にDVMRP (Distance Vector Multicast Routing Protocol)が使われていが,本プロトコルはこのDVMRPを拡張したものである.DVMRPのもつ広域での拡張性の問題を解決し,同時にDVMRPでは扱いが困難であった.衛星通信のような単方向の放送型通信媒体の効率的な利用を可能とするアルゴリズムを加えた.これにより,単なる広域での利用の考慮だけに留まらず,通信衛星等の単方向の広域放送型通信媒体の利用を考慮した提案を行う.さらにWMAでは,既存のユニキャスト通信の経路制御プロトコルをそのまま用いて,通信衛星をインターネットプロトコル体系で用いることができることを示す.分散型の電子掲示板システムや一般に公開されたファイルの転送,さらにはメーリングリストにより共有される情報の交換は,Internetにおいて通信量の多数を占める.したがって,本方式により,広域ネットワークでの資源の有効利用が図れる.

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© 1993, 日本ソフトウェア科学会
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