コンピュータ ソフトウェア
Print ISSN : 0289-6540
ソフトウェア発展特集
漸次的組化と融合による関数プログラムの最適化
岩崎 英哉胡 振江武市 正人
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2000 年 18-0 巻 p. 46-59

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抄録

本論文は,プログラムの最適化に基づくソフトウェア発展を追究するという立場から,融合(Fusion)と組化(Tupling)という独立したプログラム変換手法を組み合わせて,構成的アルゴリズム論の考えに基づく運算(Calculation)を進める方法を提示する。融合は,関数合成をひとつにまとめることによって二つの関数間で受け渡される中間的データ構造の生成を抑制し,組化は,複数の関数を組にすることによって同一のデータ構造を辿るという制御の無駄を軽減する。提案する手法では,対象とする関数を関連関数と組化してCatamorphismと呼ばれる標準的な再帰パターン形を導出した後,Catamorphismに対する融合定理を繰返し適用する。その際必要に応じて,融合に成功するような関数を漸次的に創り出した上で組化変換を行うことによって,明白ではあるが効率のよくないプログラムを効率のよいものへ系統的に変換できる。本論文では,自明ではないアルゴリズムの具体的な導出例として,一·二次元最大部分和·積問題に本手法を適用し,その有効性を示す。

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© 日本ソフトウェア科学会 2000
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