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Print ISSN : 0289-6540
リアクティブシステム仕様に対する段階的充足可能性判定器の分散オブジェクト技術を利用した実装
安藤 崇央宮本 佑樹萩原 茂樹米崎 直樹
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2011 年 28 巻 4 号 p. 4_262-4_281

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抄録

リアクティブシステムの仕様が満たすべき性質として,いかなる状況においてもその仕様を満たしつつ動作するシステムが存在することを意味する実現可能性という性質がよく知られている.実現可能性を満足するかどうかを,そのシステムの実装前に判定しておくことは,開発プロセスの手戻りを減らすことにつながる.しかし,現実規模のシステム仕様に対する実現可能性判定は,時間的なコストが大きく非常に困難である.一方,実現可能性の必要条件である段階的充足可能性が提案されており,その判定コストは実現可能性判定より小さく,その判定を行うことでも仕様の不備を発見することに有用であることが知られている.ところが,その段階的充足可能性を判定することですら,必要となる時間的,空間的なコストが大きい.そこで本稿では,並列分散環境上に分散オブジェクト技術を利用した段階的充足可能性判定器の実装方法を提案し,その実装が有効であることを実験により確かめ,これを報告する.すなわち,ここでは判定手続き中の次の3つの部分について,分散環境上に実装するための実装アイディアと,その実現方法について述べる.1つ目は,タブローグラフを分散環境上に分散配置しながら並列に構成する実装法,2つ目は,分散配置されたタブローグラフを決定化するための手続きの並列分散化実装法,3つ目は,決定化タブローグラフに対する行き止まり判定手続きの並列分散化実装である.

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© 日本ソフトウェア科学会 2011
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