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Print ISSN : 0289-6540
ハイブリッド型Peer-to-Peerネットワークにおける効率的なコンテンツ共有のための移転型複製配置手法
菅原 真司井上 友介石橋 豊山岡 克式
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2012 年 29 巻 2 号 p. 2_109-2_122

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抄録

近年,多数のユーザによる効率的なコンテンツ共有を目的として,ピュア型Peer-to-Peer (P2P)ネットワークにおける様々な複製配置手法の研究が行われている[5]. 一般にP2P型情報共有では利用するストレージが増大する傾向にあるが,特にハイブリッド型P2Pでは,サーバにおいて各コンテンツの位置を特定することが可能であり,ピュア型P2Pと比較してコンテンツ検索に要するネットワーク負荷は小さいため,コンテンツ共有のコストを総合的に削減するには,ストレージ資源の抑制にも配慮する必要がある.このような観点から,ハイブリッド型P2Pネットワークにおける効率的な複製配置手法が著者らにより提案されているが[10][11], レプリカの容量がコンテンツにより異なる条件についての検討は十分ではない.また,各ピアのストレージ容量にも現実には制限があるため,従来手法では複製配置の際に消去せざるを得ないレプリカが発生し,利便性の低下を招く問題があった.著者らはこれを防ぐためにレプリカ移転を繰り返し試みる手法を提案したが[12][4],移転を試みることの効果が十分に検証されていなかった.そこで,本論文では,各コンテンツの容量が異なる条件において,効率的に複製配置を行い,各ピアのストレージ容量を超えるレプリカは配置可能なピアへの移転を繰り返し試みる手法の効果を検証し,同時に移転の試行回数を制御する仕組みを取り入れ,無駄な移転試行処理を省くことの有効性について論じる.

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© 2012 日本ソフトウェア科学会
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