2023 年 40 巻 3 号 p. 3_113-3_122
ライフログやヘルスケアのためのウェアラブル機器の多くは電池容量が小さいため頻繁に充電する必要があり,長期の使用が困難である.そこで,導電糸で実装された布型無線給電器(コイル)を衣服へ内蔵し使用中のウェアラブル機器へ常に給電することで,継続的なウェアラブルコンピューティングを目指す.しかし,人体の至る所にあるウェアラブル機器への給電に向け布型コイルを人体スケールへ拡大すると,電磁界が人体内部まで浸透するため送信電力を制限する必要があり,さらに導電糸の損失が大きいため給電効率が著しく低くなる.そこで,安全で比較的高効率な人体スケールの布型無線給電器,メアンダコイル++を提案する.メアンダコイル++は,人体への電磁界浸透を抑制できるコイル構造と液体金属ベースの低損失な導電糸を用いる.これにより,人体の70%程度を覆う広範囲な給電領域を実現し,さらに電磁界ひ曝を抑制しながら最大2.5Wの電力を約40%の給電効率で給電領域に対し約1/375サイズのウェアラブル機器へ給電できた.