主催: 日本ソフトウェア科学会
ΣモノイドとはFiore,Plotkin,Turiらによって提案された変数束縛と代入の機構を持つ言語の代数的モデルである。本論文では、このモデルから具体的な「言語」を構成する。これは数学的には、代数的な自由生成によってΣモノイドを構成することによる。結果として得られる言語は、自動証明システムやプログラム変換でよく用いられる高階抽象構文と呼ばれるものに類似した言語であるが、いくつかの点で拡張されており、また付随する代入操作を統一的に説明することが可能である。このことを示すために、同様の目的を持ついくつかの具体的な形式的体系とこの言語を比較して考察する。これにより、この言語が「メタ変数」と「明示的環境」とみなすことができる構文的要素を自然に持つことをみる。また、特にλ計算を文脈の「穴」で拡張した体系との興味深い一致を示す。