主催: 日本ソフトウェア科学会
LMNtalは階層的グラフ構造の書換えに基づく並行言語モデルである.LMNtalではグラフ内のリンク構造や階層化された膜構造を動的に変化させることによって,分散処理をはじめとする多様な計算を統一的かつ簡潔に記述することができる.LMNtalにおいて分散処理を実現するためには,膜と物理的な計算機をマッピングすればよいことが知られている.しかし,そのような膜を単位とする分散処理の正しく効率的な実装方法は知られていない.本発表では,膜構造を用いたLMNtal向けの効率よく協調動作する分散処理メカニズムについて説明する.我々は,本方式に基づくLMNtalの分散処理系を,Java版LMNtal逐次処理系の分散拡張によって実装した.これにより,LMNtalが分散処理を簡潔に記述できることを実証した.