主催: 日本ソフトウェア科学会
実行時検証は、実行時にシステムが満たすべき性質を満たしているかを、そこまでの実行系列より動的に検証する手法である。このような検証は、システムをモデル化したものを静的に検証するよりも少ない計算コストで行うことができ、テストや実際の運用時の情報収集に有効である。本論文では、ユーザにより記述された動作仕様を実行系列が満たしているかを調べる実行時検証手続きを与える。仕様を記述する言語として、線形時間論理に自然数時間を付与した簡単な実時間論理を扱う。これらの論理は無限の状態列をモデルとするが、実行時検証においては検証する実行系列は有限であるので、有限の解釈を与え、それを基に検証を行う。本手続きでは、実行前において仕様と等価な時間オートマトンのような構成物を作らず、実行系列を得るごとに動的に必要な部分の構成を変化させて検証を行う。