2009 年 39 巻 1 号 p. 57-64
本研究は、高等学校での福祉教育と介護福祉職養成の関係および、高校福祉教育の課題を、カリキュラムの分析から明らかにしようとするものである。現在、高校の教科「福祉」の科目構成と、介護福祉士養成カリキュラムは強い相関関係にあり、介護福祉職養成カリキュラムが教科「福祉」全体を規定することとなっている。この背景には、1990年代からの高校教育改革が強く影響している。本論では、これらカリキュラムの分析から、福祉教育全体の課題を、(1)介護福祉士養成課程と学科、(2)福祉関係科目の構造、(3)「福祉科」教員養成、(4)養成施設としての高校、という4点に整理し、「介護科」の確立の必要性を指摘した。