2010 年 40 巻 1 号 p. 26-33
本研究は、大阪高等工業学校附設工業教員養成所における工業教員養成の制度的特徴とその実態を、東京高等工業学校附設工業教員養成所と比較して分析した。その結果、大阪高等工業学校附設工業教員養成所は、手島精一が校長を退任した1915年度以降の東京高等工業学校附設工業教員養成所での、縮小・変質された工業教員養成を範例としていた。実態としても、大阪高等工業学校附設工業教員養成所卒業生は、その56%が教職に就いたが、工業学校の教員はその内の41%に過ぎず、工業学校より関西近郊の中学校や高等女学校に就職していた。