2003 年 44 巻 1 号 p. 23-33
本稿では,障害児の親がになわされてきた「親役割」を明らかにし,見直すための作業の端緒として,「親の障害受容」を1つの鍵概念とし,現代日本における「障害受容」論の2つの主要な流れである「共同療育者」論と「認識変容」論について検討した.前者は親が「共同療育者」としての役割を果たすために,後者は障害児の「代弁者」となるための「認識変容」として,「受容」を位置づけるものである.これらの検討を通じて,それぞれの研究のなかに埋め込まれた「望ましい」とされる親像が専門家や研究者によって描かれ,メッセージとして発信されてきたことが明らかになった.