社会福祉学
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アメリカにおける3つのホームレス福祉政策と政策原理 : 政策の対象カテゴリーに着目して
野田 博也
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2008 年 49 巻 1 号 p. 18-31

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抄録

本稿の目的は,アメリカ連邦政府による3つのホームレス福祉政策を対象カテゴリーから分析し,次いで,その福祉原理を改めて考察することである.まず,マキニー-ベント法による政策では,「ホームレス状態」それ自体には応急援護にとどめ,それ以上の給付は特定の集団に限って扶助や社会サービスの延長として実施していた.また,「若年ホームレス」と「退役ホームレス」への政策は異なる連邦法に規定されており,それぞれ非行化など治安問題の予防や保護,国家への軍事貢献に対する補償や保障を行っていた.その福祉政策を包括的にみると,稼働能力と軍事貢献から分けた対象カテゴリーに応じて,利用できる事業に格差のあることが分かった.また,その政策原理については,自助原理と軍務に関する貢献原理が福祉政策全体にわたって明示的に現れていた.

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© 2008 一般社団法人 日本社会福祉学会
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