社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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患者・家族・専門職における〈認識のズレ〉 : 筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者への支援
隅田 好美
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2008 年 49 巻 2 号 p. 150-162

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抄録

目的;ALS患者,家族,専門職が考えている問題点や,患者が求めている支援と家族や専門職が必要と考えている支援の〈認識のズレ〉を体系的にとらえ,専門職としての支援を検討する.研究方法;6組のALS患者・家族とその専門職への聞き取り調査から,〈認識のズレ〉について分析した.結果・考察;患者・家族・専門職の間には,〈立場の違い〉〈知識の違い〉〈支援する時期と支援を受け入れる時期の違い〉から生じた〈認識のズレ〉があった.そこから〈痛いや障害の捉え方の違い〉〈問題把握の違い〉〈情報の捉え方の違い〉などの〈認識のズレ〉が生じた.また,患者や家族は〈現在の視点〉で,専門職は〈将来の視点〉で考える〈認識のズレ〉があった.〈認識のズレ〉に配慮し,適切な時期に適切な医学的情報や療養生活に関する情報を提供し,患者の「説明モデル」に寄り添った支援をすることで,〈認識が一致〉する可能性が高くなる.

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© 2008 一般社団法人 日本社会福祉学会
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