社会福祉学
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在宅脳卒中患者におけるQOLとライフスタイルおよび社会的支援との関係
武田 知樹波多野 義郎
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2008 年 49 巻 2 号 p. 176-190

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抄録

本研究では,在宅脳卒中患者のQOL関連因子について包括的に明らかにすることで,そのソーシャルサポート(対人交流を伴う社会的支援)のあり方を検討した.対象は大分県内の医療・福祉施設を利用した在宅脳卒中患者108人であった.調査では,厚生省研究班の業績に基づく「心理的QOL指標」と,その関連が予想される年齢や性別等の人口統計学的データ,医学的データ,日常生活自立度,社会的支援および交流等の計27項目を質問紙法にて調査した.結果,心理的QOLの関連因子として,抑うつ,手段的日常生活動作(IADL),ソーシャルサポート(対人交流を伴う社会的支援)等が確認された.つまり,福祉サービス機関における社会的支援のあり方としては,医療機関との連携による適切な抑うつ治療に加えて,患者会などの対人交流の場づくりや自立支援に向けた介護保険サービス等の利用を通じて,知的能動性の向上や社会的役割の維持を図っていくことが重要であることが示唆された.

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© 2008 一般社団法人 日本社会福祉学会
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