社会福祉学
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障害者就労支援事業所の社会的企業化 : 新たな実践動向のモデル化の試み
塩津 博康
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2016 年 56 巻 4 号 p. 14-25

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抄録

非営利組織の社会的企業化という新しい実践的動向を踏まえ,本研究では,福祉施策下で障害者に就労支援を行う組織のことをWISEと捉えるという新たな理論的視座を明示にした.WISEの二類型のうち継続型WISEに焦点を絞り,ソーシャルファームの基準を参照して,わが国に現存する複数のグッドプラクティスの事例調査から,それらに共通する実践の特徴が同定された.同定された五領域にわたる九つの特徴は,わが国におけるより望ましい継続型WISEの実践モデルの主たる構成要素とみなすことができる.相対的位置づけの検討の末,最終的に「組織連帯重視の実践モデル」と命名されたこの実践モデルは,一定の実践的な含意をもつものである.今後,本研究で定式化されたこの実践モデルが,障害者の労働統合に向けて,実際にどのような影響を与えているかを実証的に評価するための研究を行う必要があるとした.

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© 2016 一般社団法人 日本社会福祉学会
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