社会福祉学
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論文
就労支援策としてのイギリスの媒介的労働市場プログラム(ILM)――ニューディールにおけるILMの特性とその論点――
谷 太一
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2016 年 57 巻 1 号 p. 101-112

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抄録

地域で求められる仕事を興しつつ,雇用可能性も同時に高めるというイギリスの媒介的労働市場プログラム(ILM)の手法は生活困窮者自立支援法の就労訓練事業(中間的就労)や改正生活保護法の被保護者就労支援事業において活用することが期待できる.そのためにはニューディールを中心に展開されたILMの特性やそれをめぐる論点を解明することが必要となる.ILMで実施される仕事の内容はリアルであると同時に追加性の要件を満たすことが求められることにジレンマがある.ILMは雇用可能性を高めるというサプライサイドと地域に仕事を創出するというデマンドサイドの二面性がある.ILMに参加することは公的扶助から脱却することを意味するので,ワークフェアとは一線を画している.最も労働市場から離れている人々にこそILMは有効であることから,ILMは生活保護法や生活困窮者自立支援法における就労支援プログラムとしても適している.

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© 2017 一般社団法人 日本社会福祉学会
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