社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
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論文
生活保護利用有子世帯の養育者による「自立」の解釈――養育者の語りをとおして――
三宅 雄大
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キーワード: 生活保護, 自立, 養育者
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2017 年 57 巻 4 号 p. 14-27

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抄録

本研究の目的は,(1)生活保護を利用する有子世帯の養育者が「自立」を「どのように」解釈しているのかを分析すること,そして,(2)かれらが特定の「自立」の解釈を採る「理由」を説明することである.以上の研究目的を追究するにあたって,本稿では,首都圏A市B福祉事務所で生活保護を利用する有子世帯の養育者(14世帯16名)に対するインタビュー調査の結果を分析している.本稿の分析からは,以下に示す結論が導出された.すなわち,利用世帯の養育者は,(1)制度利用に対する権利意識が希薄であり,なおかつ,他者による「貶価のまなざし」を差し向けられていたため「生活保護制度の利用=依存」を「のぞましくない」状態と捉えていたこと,(2)それゆえに,かれらは,「自立」を「経済的自立(保護廃止)」として,なおかつ,「のぞましい」「目標」として解釈していたこと,以上である.

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© 2017 一般社団法人 日本社会福祉学会
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