2017 年 58 巻 1 号 p. 26-40
本稿の目的は,医療ソーシャルワーカー(MSW)が行うアドボカシー援助活動の構造を明らかにすることである.調査対象者は,公益社団法人日本医療社会福祉協会に所属し,病院に勤務する全会員MSW3,991名である.調査方法は,自記式調査質問紙を用いた無記名の郵送調査である.分析には,回答が得られたなかで欠損データのない1,191名(30.0%)を対象とした.分析は,探索的および確認的因子分析を行った.その結果,「意識化」「交渉」「情報提供」「院内組織の変革」「関連機関の変革」「啓発」「代弁」の7因子が抽出された.さらに,因子間の相関では,ほぼすべての因子間で正の相関がみられ,特に「交渉」と「代弁」,「交渉」と「啓発」に高い正の相関がみられた.以上の結果から,これら七つの因子が相互に関連することを考慮した包括的な援助活動を行う必要性があることが示唆された.