社会福祉学
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調査報告
鈴木道太の児童福祉への貢献――「鈴木道太文庫」の自筆ノートを手掛かりに――
山田 恵子
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2018 年 59 巻 1 号 p. 123-134

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抄録

本研究の目的は,教育者として有名な鈴木道太の業績を,児童福祉の視点から捉え直すものである.同時に,研究調査のなかで見いだした宮城県白石図書館「鈴木道太文庫」の自筆ノートの存在とその価値について報告することを意図している.生活綴方教師として知られる鈴木には,児童福祉分野にとっても大きな業績があった.それは,厚生省児童局からモデル児童相談所の指定を受けた宮城県中央児童相談所の児童福祉司として,日本の児童相談所草創期にケースワークの草分けとなる貢献をしたことであり,また,宮城県における里親委託発展の土台を築いたことである.さらに,国際連合社会活動部から社会事業官児童福祉コンサルタントとして派遣されたアリス・K・キャロル女史の講義を記録したノートをはじめ,鈴木が児童福祉司業務に携わるなかで記録した自筆ノートの存在そのものが,児童相談所の改革のあり方や方向性を探るための第一級の史料である.

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© 2018 一般社団法人 日本社会福祉学会
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