社会福祉学
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論文
社会福祉士及び介護福祉士法における成年後見業務の位置づけに対する検討――申立支援をめぐる課題を中心に――
山口 理恵子
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2018 年 59 巻 1 号 p. 70-82

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抄録

本研究は成年後見制度に関する相談の初期段階において本人を主体とした申立手続きに対する社会福祉士のソーシャルワークの視点による支援の有効性を導き出した.かつそのような支援が非弁・非司行為に抵触する可能性があるとされる問題に対し,弁護士法72条の成立趣旨及び判例解釈から違法となる部分を明確化した.また家事事件手続法の改正趣旨にそって判断能力が不十分な人々の主体的な手続きを支援する際に,社会福祉士が非弁行為を恐れ対応に苦慮する場面を明らかにすることによって,家事事件手続法22条の但書を柔軟に解釈し運用する必要性を主張した.さらにこれを可能にするための方策として「社会福祉士及び介護福祉士法」の社会福祉士の定義に対する改正の提案を行った.社会福祉士が制度を必要とする人々に対しその能力に応じた申立支援を行うことは,障害者権利条約12条「法律の前にひとしく認められる権利」並びに13条「司法手続きの利用の機会」の趣旨に沿っている.

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© 2018 一般社団法人 日本社会福祉学会
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