2018 年 59 巻 1 号 p. 83-95
本研究は,地域包括支援センターの専門職によるかかりつけ医(以下,AP)との連携実践とその関連要因を明らかにすることを目的とした.地域包括支援センターの専門職6,000人を対象に質問紙調査を実施し,認知症の受診に関する知識,APの協力度,APとの連携実践の状況などについて回答を求めた.統計解析では,APとの連携実践の状況を用いて潜在ランク理論の分析を行い,次いで推定されたランクに関連する要因を明らかにするため多項ロジスティック回帰分析を行った.潜在ランク理論の結果,6ランクモデルが最適であった.またロジスティック回帰分析の結果,「認知症専門医療機関への受診方法に関する知識」と「APの協力度」が有意な関連を示した.以上より,APとの良好な連携を実践していると推測された専門職は2割にとどまっていることが確認された.また連携促進には「認知症専門医療機関への受診方法に関する知識」を付与し,APによる協力度を高めるための環境づくりが重要であった.