社会福祉学
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調査報告
児童福祉司・里親の養育支援に対する意識とその課題
音山 裕宣
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2019 年 60 巻 3 号 p. 76-89

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抄録

2016年児童福祉法改正で,里親支援に関する相談・支援が児童相談所の業務に位置づけられた.戦後の里親制度発足時から指導というかたちで実質的に児童福祉司によって担われてきた里親支援とは何かを考察し,役割を提示することが本稿の目的である.今回実施した児童福祉司調査,里親調査では,児童福祉司が行っている里親支援が不十分であることが示された.両調査結果を分析し,考察を加えた結果から,児童福祉司が担う里親養育支援とは,「子どもや里親,実親の状況をリアルタイムで把握し,当事者を含む関係者全員の意見を聞いて,情報を共有しながら,支援の方向性の合意形成を図ること.そして,ケース全体を見ながら,措置不調時などにおける里親と協議したうえでの『一時保護』その他の専門的な支援など,必要時の適時介入,社会資源の調整など,子どもの自立や実親との再統合を見据えたコーディネーターとしての役割を担うこと」であることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本社会福祉学会
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