本研究の目的は,重症心身障害者への地域生活支援および意思決定支援の構造を明示することである.本研究では主にインタビュー調査を行った.親元を離れ地域で暮らす2名の重症心身障害者と,その支援者たちが調査協力者である.調査結果から,支援は複数のカテゴリーの関連から成り立つことがわかった.【日常的に行われる意思決定支援】とともに【地域生活特有の課題への対応】が支援者には求められる.それら支援にはキーパーソンの役割が不可欠であり,【支援キーパーソンによる本人の生活の旗振り】がなされる.こうした支援の継続により,支援者たちの間で【本人を中心に,支援者たちが共同して生活を作るという志向の生成】がみられる.支援構造が明らかになることで,生活支援と切り離さない意思決定支援の議論の必要や,生活に根差した意思決定支援には柔軟な支援体制の確保と,障害者本人の社会経験の蓄積が必要だとわかった.