2021 年 62 巻 2 号 p. 16-28
本研究は,民生委員による認知症が疑われる高齢者を発見した場合の地域包括支援センター(以下,包括)への援助要請意向の順序的評価と認知症に関する知識および認知症の人に対する態度との関連性を明らかにすることを目的とした.A府B地方の民生委員1,574人に質問紙調査を実施した.調査内容は認知症に関する知識,認知症の人に対する態度,認知症が疑われる高齢者を発見した場合の包括への援助要請意向等であった.解析では援助要請意向に潜在ランク理論を行い,その関連要因をCATDAPで探索した.その結果,潜在ランク理論では3ランクモデルが最適であり,CATDAPでは「認知症に関する知識」「認知症の人に対する肯定的態度」の組み合わせで最も強い関連性を示し,いずれも高値の場合に7割の民生委員がRank3に属した.援助要請意向を高めるためには「認知症に関する知識」「認知症の人に対する肯定的態度」の両者を向上する必要がある.