社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
論文
性暴力被害者のニーズを踏まえた相談支援のあり方についての検討――「性被害の実態調査アンケート」の質的調査の2次分析を通じて――
岩田 千亜紀
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2021 年 62 巻 3 号 p. 58-72

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抄録

本研究では,2020年に一般社団法人Springによって実施された「性被害の実態調査アンケート」の質的調査の2次分析を行った.その結果,性暴力被害者のニーズを踏まえた相談支援についての課題として,“相談機関のアクセシビリティ(利用しやすさ)”,“相談機関のアクセプタビリティ(受け入れやすさ)”,“相談機関の相談の質”の三つがあることがわかった.そのため,性暴力被害者が相談支援に繋がるためには,物理的アクセシビリティを高めるだけでなく,相談支援の質の向上や,中長期的な相談支援の提供など,包括的かつ総合的な支援サービスへの改善が求められる.性暴力被害者への相談支援におけるソーシャルワーク支援は,著しく乏しい現状にある.今後,ワンストップ支援センターや地域のソーシャルワーカーが,性暴力被害者の生活再建・回復を目指した中長期的な支援の中核になることが必要である.

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© 2021 一般社団法人 日本社会福祉学会
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