2022 年 62 巻 4 号 p. 31-43
本研究では,生活保護世帯における高校未進学・中退の子どもに対する生活保護ケースワーカー(以下,ワーカーとする)の関わりの実態を明らかにするため,ワーカーを対象にインタビュー調査を実施し,質的データ分析法を用いて分析を行った.その結果,ワーカーはまず,子どもの今後の進路希望を確認するため,子どもと保護者それぞれへの働きかけを行っていた.また,子どもの希望に寄り添い,就学支援あるいは就労支援が行われていた.ワーカーの語りから,高校中退の子どもは就労指導の対象になるという認識がワーカーにあることが示された.一方,自力で就労した子どもに対し,ワーカーは支援していないという「支援の不在」があったことが明らかになった.高校未進学・中退の子どもに対し,子どもの将来を見据えた就学・就労支援や,子どもが自立した生活を営むために必要な知識とスキルの提供,子どもへの直接的な支援が求められる.