社会福祉学
Online ISSN : 2424-2608
Print ISSN : 0911-0232
論文
医療福祉生活協同組合におけるコ・プロダクションへの組合員参加のプロセスと参加を促進する働きかけ――グラウンデッド・セオリーによる分析から――
小山 宰
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2022 年 62 巻 4 号 p. 86-100

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抄録

本研究は,医療福祉生活協同組合におけるコ・プロダクションに着目し,そこでの組合員参加のプロセスと,参加を促進する働きかけの内容を明らかにすることを目的とする.組織化活動を行う組合員と専門職から得られたインタビューデータを,グラウンデッド・セオリーにより分析した結果,核概念【開かれた保健医療福祉の共振】が生成された.当該概念は,民主的な組織運営や個々人を尊重する保健医療福祉の実践等の価値を内包する医療福祉生活協同組合の取り組みに対する組合員の理解が,組合員同士または専門職の相互作用の中で深められ,それにより組合員の広範な行動が生み出される状況を表す.この核概念を中心とするコーディングの結果,①共振は[信頼の継続的発展]と[医療生協への体験的な共感]を導くことを眼目とする参加を促進する働きかけの所産であることと,②共振の度合いによって組合員参加がより協同的なものに深化することが明らかとなった.

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© 2022 一般社団法人 日本社会福祉学会
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