創傷
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特集3 : 陰圧閉鎖療法の適応を考える
静脈うっ滞性潰瘍に対する局所陰圧閉鎖療法の適応
佐藤 智也市岡 滋
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2014 年 5 巻 4 号 p. 175-180

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抄録

 静脈うっ滞性潰瘍の標準的な治療は,圧迫療法と慢性静脈不全に対する手術療法である。しかし,これらの治療で治癒しない難治例が一定の割合で存在しており,このような症例に対する補助療法として局所陰圧閉鎖療法は有効である。方法は,まず潰瘍を外科的デブリードマンする。未治療の一次性静脈瘤がある場合は同時にストリッピングや静脈瘤切除を行う。創部の止血が十分であることを確認したのち,局所陰圧閉鎖療法を 3 週間行う。潰瘍に良質な肉芽を誘導したら,植皮により潰瘍を閉鎖する。植皮が生着したのちは再発予防に圧迫療法を行う。局所陰圧閉鎖療法に当たり注意すべき点は,静脈うっ滞性潰瘍と類似した別の疾患を除外すること,壊死組織を十分にデブリードマンすること,出血を防止すること,細菌のコントロールを厳密に行うことである。局所陰圧閉鎖療法を補助療法として用いることで,難治例であっても効果的に閉鎖することが可能である。

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© 2014 一般社団法人 日本創傷外科学会
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