日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 9S2B-4
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マーモセット CYP2D 酵素蛋白質の構造と機能の相関性
*比知屋 寛之蔵本 詩乃山本 重雄浅岡 一雄宮田 篤朗成松 鎭雄
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キーワード: c-44, m-11, r-6
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抄録

医薬品開発に際し, 薬効及び毒性評価に用いる動物種はヒトに近いものが望ましく, ヒトと同じ霊長類に属するサルのヒト代替実験動物としての有用性は高いと思われる. 我々はサルの薬物代謝機能研究の一環として, 小型で取り扱いが容易なマーモセットの肝臓内の CYP2D 酵素に焦点を当て, 詳細な検討を行った. まず, 鹿児島大学より供与されたマーモセット肝臓より単離した既知の CYP2D19 酵素 cDNA に加えて, その推定アミノ酸配列で 33 残基異なる新規 CYP2D30 酵素の cDNA を京都大学より供与された同種の肝臓より各々単離した. 次に各 cDNA を酵母に発現させ, そのミクロゾーム画分 (Ms) を用いて bufuralol (BF) 1" 位水酸化活性を測定した結果, r2D30 はnmol CYP 当たりで r2D19 の約 4 倍高く, また BF の 4 種の代謝物ジアステレオマー生成における立体選択性が異なることが示された. そこで, これらの相違に及ぼすアミノ酸残基の影響を明らかにするため, 両マーモセット CYP2D 酵素間で異なる基質認識部位 (SRS) 内 のアミノ酸残基に着目し, その機能を検討した. 2D19 のアミノ酸残基を相当する 2D30 のアミノ酸残基に置換した変異型 2D19 (E108Q, L119V, S243F, H296R 及び P477H) 及び両マーモセット CYP2D 酵素のcDNA 断片を含むキメラ酵素を作製し, 上記同様発現酵母 Msを用いて BF 1" 位水酸化活性を測定した. その結果, SRS-1 内の L119V が r2D30 とほぼ同程度の活性を有し, 速度論的解析においても L119V のみ Vmax 値の上昇が認められた. 変異型 2D30 及びキメラ酵素の結果も併せて報告し, 考察を加える.

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© 2003 日本薬物動態学会
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