日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 9PE-09
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マクロライド系抗生物質アジスロマイシンのP糖蛋白質およびMrp2による排膜機構
*杉江 昌美中山 寛尚Zhao Y.L.鳥田 祥子北市 清幸高木 健三灘井 雅行吉住 秀夫長谷川 高明
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キーワード: p-1, m-17, Azithromycin
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抄録

【目的】先に我々は、マクロライド系抗生物質がP糖蛋白質(Pgp)を阻害することによって多剤耐性がん細胞を克服することを報告している。本研究では、新規マクロライド系抗生物質アジスロマイシン(AZM)の多剤耐性がん細胞克服作用と胆汁排泄、腎排泄および腸管分泌におけるPgpあるいはMrp2の関与について検討した。また、Pgp基質の胆汁排泄に及ぼすAZMの影響についても検討した。【方法】Pgp基質および阻害薬として、それぞれドキソルビシン(DOX)およびシクロスポリンA(CyA)を、Mrp2阻害薬としてプロベネシドを用いた。In vitroにおいて、Pgpを過剰に発現しているアドリアマイシン耐性がん細胞K562/ADRの細胞内DOX蓄積量に及ぼすAZMの影響について検討した。In vivoにおいて、Wistar系雄性ラットを用い、AZMの胆汁排泄、腎排泄および腸管分泌に及ぼすCyAとプロベネシドの影響から、PgpおよびMrp2の関与について検討した。またSDラットおよびEHBRを用いて、AZMの胆汁排泄におけるMrp2の関与とDOXの胆汁排泄に及ぼすAZMの影響についても検討を加えた。【結果及び考察】AZMはK562/ADR細胞内のDOX蓄積量を有意に上昇させ、多剤耐性克服作用を有する可能性が示唆された。AZMは胆汁排泄、腎排泄および腸管分泌されることが明らかになった。CyAおよびプロベネシドはAZMの定常状態における胆汁クリアランスを有意に減少させたが、腎クリアランスには変化を与えなかった。CyAはAZMの腸管分泌を顕著に阻害した(95%)。また、AZMの胆汁排泄量はEHBRにおいて有意に低下した。さらにAZMはDOXの胆汁排泄を有意に遅延させた。以上より、AZMの胆汁排泄および腸管分泌にPgpおよびMrp2が関与していることが示唆された。

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© 2003 日本薬物動態学会
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