日本薬物動態学会年会講演要旨集
第18回日本薬物動態学会年会
セッションID: 9PE-16
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肝臓におけるカルニチン/有機カチオントランスポーターOCTNsの役割
*平山 雅通小林 大祐Moseley Richard崔 吉道辻 彰玉井 郁巳
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抄録

【目的】肝臓の胆管側膜における有機カチオン輸送には、pH依存的な輸送担体の存在が示唆されているが、その分子的実体は同定されていない。我々は、腎上皮細胞刷子縁膜側に局在し、カチオン性化合物やカルニチンを輸送するトランスポーターOCTNsを同定してきた。OCTN2は、肝臓において比較的高い発現が見られ、カルニチンの肝臓への取込みに関わっていることが示唆されている。一方OCTN1はマウス、ラットおよびヒト胎児の肝臓には発現しているが、成人での肝臓では発現が確認できないなど種差があり、その役割は明確となっていない。本研究ではOCTN1およびOCTN2の肝臓における局在性を明らかにすることにより、肝臓でのOCTNsの役割を明らかにしようと考えた。
【方法】ラット肝臓より調製したcanalicular membrane vesicle (CMV) およびbasolateral membrane vesicle (BMV)を用いたウェスタンブロット法と、凍結切片を用いた免疫組織学的検討により、OCTN1及びOCTN2の肝臓における膜局在性を検討した。
【結果・考察】OCTN2はBMVに強く発現し、CMVではほとんど発現が見られず、免疫組織染色による結果は、この結果を支持するものだった。これはOCTN2遺伝子が変異したjvs マウスでカルニチンの肝臓への移行性が減少する我々の報告と良く一致する1)。一方、OCTN1は、CMVでは検出されたが、BMVではほとんど見られなかった。本研究によりOCTN1は、主に胆管側膜に局在しOCTN2は、基底膜側に局在することが明らかになり、類似した基質認識性を持つOCTN1と2で生理的役割が異なっていることが考えられた。
1) Yokogawa et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. (1999)

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© 2003 日本薬物動態学会
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